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help リーダーに追加 RSS その思考の根拠を探せ -うつ病のぐるぐる思考脱却のために-

<<   作成日時 : 2008/01/12 00:47   >>

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認知療法というものがある。
うつ病などに効果がある(一説によると投薬と同等とも)とされている精神療法である。
考え方の癖を知り、認知(物事のとらえ方)の歪みを矯正するためのトレーニング方法を学ぶ・・・という風にとらえてよいだろう。
「考え方の筋トレ」と称する人もいる。
『正しい思考』を与えてもらうのではなく(第一そんなものはない)、柔軟で現実に適した考え方ができるように「自分の力」を鍛えるものだ。

私はこれをうつ病の治療過程の中で学んだ。
主治医であるところの五十嵐良雄院長の方針で、『再発予防(再休職予防)のための集団認知行動療法セミナー』が患者受講者10数名の規模で企画された。
その第1回目に「デイケアの卒業生を優先しているから、ぜひ受けなさい」と、何度も何度も何度も何度も勧められた。卒業して再就職したタイミングだった。
プレセッション(本格講義に入る前の準備回)を含め、週に一度で全9回。期間にして2ヶ月以上になる。費用は保険の適用外なので自費。
費用がかなりかかること、9回の全てを出席することの大変さが気にかかって、勧められたからと言っても即断は出来なかった。しかし、再就職先でのあまりに大変な環境に振り回されるタイミングで、「自分に必要なものかもしれない」と思いなおし、受講を決めた。費用はヘソクリから出した。
2005年7月、全行程を終了した後で書いた記事がある。
当時にはわからなかったが、うつ病という脳の機能不全で起きる病気に、認知療法という精神療法がどれほど治療効果を持っていたのか、今思い返すといろいろなことがわかる。

うつ病は『心の病』だと言われている。もちろんそれは間違いではない。
うつ病は『脳の機能不全で起きる』と言われている。もちろんそれも間違いではない。
実は原因を追究することにさほどの意味はない。
病理的な原因は、平たく言えばまだ解明されてはいない。脳の機能不全(神経伝達物質の減少)が原因だというのが現在もっとも有力な「仮説」だが、それが何故起きるのかは分かっていない。分かっていないが、治療は出来る。そういうものだ。
個々人の発病の原因は、さらにもっと追求する意味はない。原因を突き止めても、そしてそれを排除しても病気は治らないからだ。環境によって病気になった(病気にさせられた)と、当事者は思いやすい。その環境を変えることでしか治癒はないという風にも思いやすい。
けれどそれは違う。確実にうつ病になる「原因」なんてものはない。
環境と自分の受け止め方の組み合わせで、病気になったりならなかったりする。
環境を変えなくても病気は治るし、環境を変えても自分が変わらなければ同じことが起こる(確率が高い)。

うつ病は心の病なので、心(思考や気持ちと言い換えてもよい)を蝕む。
身体の不調と共にあらわれる精神症状とよばれるもの、くよくよ考えたり過剰に反応して泣いたりする心の不調は、病気によるものだ。そして、その時にはその「思考が病気で普通じゃない」ということの自覚はない。自分は昔からずっとそういう考え方をしていると思っているし、その考え方以外のものがあることすら、思い至らない。
私もそうだった。
「自分はなんてダメで、なんてちっぽけなんだ」
「世の中全てが、オマエナンカイラナイと言っている」
そう思っていた。他の考えなんか思い浮かばなかった。

認知療法では、自分の思考や気分を書き出して分解する作業がある。
身近な出来事に題材をとり、その時にとっさに頭に浮かんだ考え(自動思考)を書き留める。
その思考の根拠を探す。何故そう思うのか、の根拠となる「事実」だけを。
ここで私はとても苦労した。
思い込みや想像ではない事実だけの根拠、は探してもなかなか見つからない。
○○だから〜〜〜、とか××だったから〜〜〜、とか、挙げても「それは事実じゃないですよね?」「そこにはmoonさんの思い込みが入っていますよね?」とか指摘される。
うーん、そうかも。そうやってそぎ落としていくと、実にそっけない小さな「事実」しか残らない・・・そんなケースがいくつもあった。
今考えれば、「客観的な事実ではない偏った思い込みをもとにして、歪んだ思考をしていた」ということを端的にあらわしているんだろう。

根拠をもとに反証し、自動思考と反証を振り返りいくつかのアプローチを経て、「適応的思考」を導き出す。その過程で考え方が変われば気分も変化する。
そうやって自分の心と身体の両面をコントロールする力を身につけてゆく。

多分普通の人には無意識に出来ていることだと思う。
今の私は、かつての自分を思い出してみて「なんてひねくれた捻じ曲がった思考をしていたんだろう」と、呆れたりすらする。
2004年の夏からずっと、毎晩のように泣いていた。
「もうダメだ」とずっとその言葉が頭から離れなかった。
けれど、その時の気持ちはたしかにそうでも、そう思う「根拠」はなかった。何がどうなると「ダメ」でそれはどういうことなのか、実体の無い空っぽの「ダメ」だったのだ。
仕事を辞めても、翌日から食べられなくなるわけではない。
人並みの事が出来なくても、世間に迷惑をかけるわけではない。
次の仕事がずっと見つからないと、決まっているわけでもない。
絶望するような根拠はない。自分で自分を追い込むな。
今ならそう思う。

根拠のないことで思考を突っ走らせない。
これは今も常に気にしているし、心に留めておかねばならないことだと思っている。


ぐるぐると負のスパイラルに陥っている時に、「他の考え方をしろ」と言われてもそれは無理だと思う。
だが、自分がしがみついているその思考の根拠は何か? それは誰でも必ずそう思う「事実」なのか?
それはちょっと考えてみてもいいと思う。

その思考の根拠はなんだ?

認知療法で目からうろこが落ちるように腑に落ちたのがこれって、なんかずれているのかな、とは思いつつ、今のところ私にとっては、これが最強の「うつ思考脱却のための切り替え法」である。








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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
moonさん、こんにちは。
今回のコメントを興味深く読ませていただきました。
わたくしは現役のカレッジ生ですが、現在デイケアにおいてまさに認知療法のトレーニングをしています。

これをやっていると、自動思考に対する根拠がまったく正しくない、もしくは根拠がない、という事が少しわかったような気がしています。

わたしもこれまではダメな自分をぐるぐるとずっと考え込んでいましたが、デイケアに通い、認知療法などに触れる事でそんなことは無いんだな。。と新たに発見した次第です。

まだまだ認知療法に関してはトレーニングをしていかなくてはいけませんが、moonさんの

仕事を辞めても、翌日から食べられなくなるわけではない。
人並みの事が出来なくても、世間に迷惑をかけるわけではない。
次の仕事がずっと見つからないと、決まっているわけでもない。
絶望するような根拠はない。自分で自分を追い込むな。
今ならそう思う。

このコメントには共感いたしました。

またちょくちょくコメントさせていただきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
乱文ですみません。。。
いさか
2008/01/24 16:22
★いさかさん、こんばんは。
今のリワーク・カレッジには、認知療法の基礎となる「セルフケア」プログラムがあるんですよね? 私の頃にはなかったものなので、それに関してだけは今の人がうらやましいような気もします。
ただ、この記事に書きそこなったのですが、認知療法の第一歩はセルフモニタリングであるとも言われています。自分の状態を記録して把握する、ことです。それはクリニックですすめる「セルフチェックシート」が始まりでもありますね。自分の状態を把握してリズムをつかむこと・・・・この大切さがわかるときに、治療のステージがひとつ上がる様な気がします。
身体の状態をひとつずつ記録して把握し改善点を見つけるように、思考についてもそれが出来るんでしょうね、きっと。
そしてそれが有効であることに気がつけば、気持ちが落ちてしまうことをきっかけにした不調は、限りなく避けられるように思います。
頑張ってください。思考のトレーニングを。
また来てくださいね。
待っています。


moon
2008/01/24 22:39

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